KRS corporation|株式会社KRS|冷凍冷蔵設備・空調設備の設計・施工および保守

プレハブ冷凍庫 新築工事 ⑥

投稿が遅くなりましたが、プレハブ冷凍庫シリーズの最終回
最後は試運転です。

窒素による気密試験を行ったあと、冷媒配管内と冷凍機内の真空引きを行います。
真空引きとは、配管や冷凍機の中に空気や水分が混入しないように、
冷媒を充填する前に、真空ポンプで中の空気を吸い出すことです。

空気が混入すると、冷媒サイクルが異常高圧を示したり、伝熱を阻害したりとトラブルのもとになります。
また、水分の混入は、機器や配管内で凍結を起こし、これもトラブルの大きな原因です。
施工中に空気が入るのはどうしようもありません、しかし真空引きで完全に排出されます。
ただし、施工中の水分の混入には十分注意しなければいけません。
真空になることで、水分は蒸発し、排出されるはずです。ただ、それには十分な時間とある程度の温度が必要なのです。

十分な真空が引けたあとは、冷媒の充填です。
エアコンなどでは、予め充填されている「チャージレス」だったり、配管長に応じた規定量を予め充填する方法が多くとられます。
冷凍では、大まかな充填量は冷凍機の大きさや配管長で予め充填しますが、最終的な充填量は、実際に運転しながら冷凍機出口液配管に取り付けられたサイトグラスを確認しながら行います。
(サイトグラスとは、液配管内の状態が見えるようにガラスの窓が取り付けられた部品です。)
冷凍の場合、冷やすものの負荷や特徴に応じて様々なユニットクーラーが使用されます。また、大きさも負荷に応じて大きめのものを選択することもあります。
そのため、決まった量を充填するのではなく、個々のシステムに合った適量に調整する必要があるのです。さらに、状況によっては膨張弁の調整を行う必要もあります。

今回納入したシステムは、冷凍機がインバータ制御を行っています。
冷やし始めや、負荷が多くかかっていたりするときは、コンプレッサーを高回転で運転させます。
十分に冷えたときは、コンプレッサーを低回転で運転させます。
インバータ制御は、この加減を電気の周波数を変えることで行うのです。
具体的な制御方法としては、「蒸発圧力一定制御」を取っています。
ユニットクーラーの制御は、従来通り温度膨張弁による「過熱度制御」ですので、負荷が増えると膨張弁が開いて冷媒の循環量を増加させようとし、サイクル内の蒸発圧力が上昇します。
サイクル内の蒸発圧力が上昇したことを冷凍機が検知した時、冷凍機は蒸発圧力が下がるように制御します。つまり、コンプレッサーの回転数を上げて吸入量を増やします。吸入圧力=蒸発圧力が下がります。
コンプレッサーの回転数を上げるということは、冷媒の循環量が増加するということになり、冷却能力が増加し負荷の増加に対応するのです。
逆に、十分に冷えて負荷が減少した場合は、膨張弁が閉じて冷媒の循環量が減少するとともに、サイクル内の蒸発圧力は下降します。
サイクル内の蒸発圧力が下降したことを冷凍機が検知した時、冷凍機は蒸発圧力が上がるように制御します。つまり、コンプレッサーの回転数を下げて吸入量を減らします。吸入圧力=蒸発圧力上がります。
このように、決められた蒸発圧力にあわせて運転するように制御されます。
この蒸発温度は、冷やしたい温度や庫内の負荷に応じて設定されます。

このシステムでの冷媒充填時の適切な方法としては、冷え切る直前の負荷が十分にある状態(冷凍機がある程度の高回転状態であること)において、冷媒の最大循環量を確保し、サイトグラスでの満液状態を確認することです。
冷え切ってしまうと膨張弁は閉じてしまい、冷凍機も回転を落とします。ある程度冷えていなければ、高負荷時の蒸発温度が高い状態での運転になってしまいます。
といったことを頭に置きながら、冷媒充填は完了です。
満液状態かつ、冷凍機に帰ってくる液冷媒は最小限に。うまく調整できました。

冷媒充填が終わり、サーモオフが確認できたら、除霜の確認です。
ユニットクーラーの極端な温度上昇はないか? 霜の溶け残りはないか? 除霜時間は適正か? 除霜時に出る排水はきちんと流れているか?
扉周りなどの細かいヒーターの通電状態も確認します。
全て問題なく運転しました。

初の連載企画いかがでしたか?
今回、お納めした冷凍庫は特に珍しいものではありませんが、建物の基礎から関わることになり、良い機会なので連載にしてみました。
また、面白い事例があれば、こういう形で追いかけてみたいと思います。

最後に、あまり撮っていなかった、試運転時の写真です。

今週は、冷凍の試験ですね。
皆さんがんばってください。健闘を祈ります。

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